スイスホテルマネージメントスクール時代、一年目のインターンとして、
スイスでも数少ない5つ星ホテルの「メインダイニング」で半年働いた。
共に働く仲間は、スイス人、イタリア人、ポルトガル人、南アフリカ人、ドイツ人と多彩な顔ぶれ。
みんな親切で、休みが合えば一緒に飲みに行ったりと思い出すだけでも「ニヤけて」しまう。
そんな多国籍を束ねるダイニングのヘッド、専門用語で「メトロディ」は、
ちょっと初老の紳士的な雰囲気を持つ「デイビッド」。
デイビッドはなんと「フランス語」「英語」「ドイツ語」「イタリア語」「ポルトガル語」「スペイン語」を操るのだ。
よくある「少し話せる」ではない。
しかも、私に英語をしゃべっている最中に、別のスタッフにはポルトガル語でとほぼ同時に話す。
頭のなかはどういう回路になってるのかと不思議でしょうがなかった。
ある日デイビットに聞いてみた。
「そんなに何か国語も同時にしゃべってあたまこんがらがらない?」
すると、
「なんでだ?」
と逆に真顔で聞かれてしまった。
彼にとっては普通のことらしい。
デイビッドは本当に親切にしてくれた。
僕のミスにもたくさん目をつぶってくれた。
このインターンの面接を受けたときデイビッドが面接官だった。
一緒に受けにきていた「スイス人と、アメリカ人の女性」は採用せず、私を選んでくれたことも知っていた。
本当に楽しい半年だった。
一緒に過ごした仲間とも別れが惜しかった。
最終日はナイトクラブへ繰り出し朝まで騒いだ。
そんな中、ある女性スタッフのひとりがこう言った。
「ね~デイビットって独身だよね~ なんで結婚しないのかな~」
すると、「あれ~知らないの??デイビットはゲイなんだよ~」と。
「なぬっ!?!?」
全然知らなかった。
「えっ?だから俺えらばれたのかな~」
「だからミスしても怒られなかったのかな~」
思い当たる節は数限りな~し。。。。